青年は空にいる少女を探していた。いつ出会えるかも分からずに。

その少女が、この世界を変える存在になろうとは教えられないまま。





  『‘AIR' another story ~uP SiDE-dOwN D→A wOrlD~ preview version. 』
                                                          written by DJ EVO





青年はある町にたどり着いた。突然バスの運転手に降ろされた。

渋々、青年はバスから降りた。それまで青年を乗せていたバスは遠くに行ってしまった。

不思議に思った。なぜ終点でもないのに降ろされたのだろうかと。

時刻表を見たが、次のバスは当分来ないようだ。

ツイてない。その一言で終わるはずだが、今日はなにか違う。そんな気がした。

その町は一見、なんの変哲もない町に見えた。しかし、青年はこの町に妙な違和感を感じた。

早くこの町から離れたい。頭の中ではそう言っている。

なぜだろう、気持ちとは逆に体は町の方にどんどん進んでいく。

少なからずではあるが、この違和感の正体を知りたかった。

興味がないと言ったら。嘘になる。少しだけなら寄り道してもいいだろうと軽く考えていた。

誰かが自分を待っている、呼んでいると。無意識のうちにそんな事が頭に入っていた。

それはいつ頭のなかに入りこんだのか。それさえも分からない。

分からない事だらけだ。青年はそんな事さえも気づかないまま歩いた。

疲れた。とりあえず何処かで休もう。

堤防の上に座る。少し尻が熱いのが気になるが、気持ちの良い風のおかげで体が楽になる。

その時だ。突然、目の前に白と黒の羽根が風に乗って飛んできた。

カラスとカモメの羽が飛んできたと思った。

トンっと何かが隣に落ちた音がした。同時に今まで感じていた違和感がさらに強くなった。

音がした方に目をやる。そこには一人の少女がいた。

すると、さっき見た白と黒の羽根が彼の視界全てを埋め尽くす。

一瞬、目を疑った。なぜこんなに大量の羽根があるのだ。目をこすり、もう一度よく見る。

間違いない。これらの羽根は、その少女の背中にある大きな翼の羽根だ。

なぜ、翼があるのか。有り得ないものを見たのにそんなことさえ思い浮かばない。

しばらく彼女を見つめていた。正確には彼女の翼の方を見ていた。

何度見てもその翼は彼女のモノだ。

右の翼は真っ白な神々しい輝きを持った汚れの全くない天使のような翼。

対して左の翼は真っ黒な禍々しい力が感じられるまるで悪魔のような翼。

黒い翼は、白い翼を侵食をしているように見えた。

わずかではあるが、黒い羽根の中に白い羽根がある。いずれ、左の羽根は完全に黒に染まる。

そして、右の翼も黒くなっていくのだろうか。勝手に解釈した。

少女は言った。「あなた・・・・、この翼が見えるの?」少しびっくりした顔で聞いてきた。

「ん?ああ・・・。見えるけど、その翼は一体なんなんだ。」

「え?これは・・・。」言葉につまったようだ。

一呼吸おいて、また喋りだす。

「この翼は見える人に見えるものなの。」

「じゃあ、俺が見えていることは特別なのか?」

「そう。でね、この翼が見える人に出会った時・・・。」

「出会った時、なんだ?」

「私を・・・、私を助けてくれるんだって。」

「はっ?助ける?なんで俺なんだ。ていうかお前を助けるってどういうことだよ?」

聞きたいことが次々と出てくる。そして、この違和感は一体何なんだ。

しばらくの沈黙の後、少女は口を開く。

「この翼が全て黒くなる時に私は私でなくなる。私はココに居られなくなる。

私という存在が消えてしまうの。」

有り得ないと思った。

「悪いが俺はそんな話は信じられないし、力もない。第一に俺とあんたは赤の他人だ。」

「それに俺は早くこの町から出たいんだ。居心地が悪いんでな。」

「とは、言ってもバスがないんだよな。とりあえず今日泊まる宿を決めないと。」

そう言って、立ち去ろうとした。

だが、人間とは悲しいものだ。一度踏み込んだ道からは、抜け出せないものだ。

今すぐ、出たいといってもそれができない。

すると彼女は・・・。

「ちょっと、待って!!」

少女が呼び止める。

「なんだ。まだなんか用があるのかよ?」

「よかったら、うちに泊まっていってもいいよ。あとご飯も出してあげるし。」

「駄目かな?」上目遣いでこちらを見る。

うっ・・・。可愛い。それは反則だ。

ここでも人間の悲しいところが出てしまう。さらに追い討ちをかけるように空腹が彼を襲う。

体は正直なものだ。やっと諦めたのか、彼は彼女のいわれた通りにした。

「お世話になります。」深々とお辞儀をした。

「にはは、よかった。ここでさよならしなくて。」

「そういえば、名前聞いていなかったよね。私は神尾観鈴。あなたの名前は?」

「俺か?俺は国崎往人だ。まあ、よろしく頼む。」

「往人さんか。じゃあ、いこう往人さん♪」






二人は歩き出した。同じ道を共にするために。



それは絶望へと続いていくのか、希望へと続いているのだろうか。



答えはいずれ分かる。





THE END



























あとがき

久しぶりに小説を書きました。ということで今回は昨年、アニメ化したAIRです。
突発モノなんで、これで終わりです。とりあえず文にはなりましたよ。
てか実はゲームやったことないです(苦笑) ハイ。
でも、なぜだかアニメのDVDは全巻持っています。
私の友人が鍵っ子なもんで上手く口車に乗せられて、毎月発売されるDVDを買う羽目にOTL
まあ、面白かったですけどね。ゲームは友人が持っているのでできるのですがと、最近
ゲームをする事さえも億劫になってきているの現状。(贅沢なやつだ
正直やりたいですよ、ただ来年度に向けて色々と準備が多くて(汗)
あとはいつかこの趣味にも終わりがくるのだから、いっそ辞めてしまおうかと思ったり。
暗くなったんで、話は変わり今回の小説の話をば。
なぜか知りませんが、私の夢に白と黒の翼を持った観鈴が出てきたことが始まりです。
こいつは面白そうだなと思って書き出したのがこれなわけです。
もうね、原作の設定なんて細かいところまで知らないんで、やりたいことやらせてもらい
ました。はあ、こんな下手くそな小説はほかにないな・・・。もう自己満です。
まあ、俺なんてこんなもんさ(・ω・)

んで、私が前に書いていた走り屋小説の方なんですが、私自身、車だけでなくバイクの方
にも興味が出てしまいまして、車だけではなくバイクも登場させようかなと。
あと物語の再構築、各キャラの再設定もしてまた新しく書いてみようと思います。
それか、一からすべてオリジナルのキャラ、設定のものにしてみようかなと考えています。
趣味でやってるんで気長にやりますわ。それでは。





どうでもいいよな、このあとがきって・・・。